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「社会福祉法等の一部を改正する法律案」のポイントをしっかりと理解しましょう

「社会福祉法等の一部を改正する法律案が2015年7月30日に衆議院を通過

2014年7月4日に発表された報告書「社会福祉法人制度の在り方について」、2015年2月12日にまとめられた「社会保障審議会福祉部会報告書~社会福祉法人制度改革について~」を経て、第189回国会に提出された「社会福祉法等の一部を改正する法律案(以降、「改正社会福祉法」と呼ぶ)」。

安全保障関連等の重要法案審議に時間を費やし、本案についていつ国会で審議されるのか、状況を注視していましたが、ようやく先月30日に「衆議院通過」となりました。残るは参議院審議ですが、こちらは問題なく通過することはほぼ自明だと考えても差し支えなく、本改正案が法制化されることは時間の問題だと言えそうです。

これからの社会福祉法人に一体何が起こるのか?今回のニュースレターでは、特に経営面で大きな影響を与えるであろう本法案のポイント等について確認してまいります(社会福祉法人以外の法人の皆様も、地域社会に影響を与えるであろう要素として、是非、ご認識下さい)。

改正社会福祉法の骨子の確認

本改正案には大きく2つのテーマ「社会福祉法人制度の改革」と「福祉人材の確保の促進」が盛り込まれています。介護事業者の皆様には前項の1つ目「社会福祉法人制度の改革」の中身について、特に以下の5つのポイントをおさえておいていただければと思います。

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【その1:経営組織のガバナンスの強化】
議決機関としての評議員会を必置(小規模法人について評議員定数の経過措置)、一定規模以上の法人への会計監査人の導入等

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従来より推奨されていたものの、全ての社会福祉法人にとっての「義務」ではなかった評議員会が「必置」となったのは、今回の法案の中での最大のポイントだとも言えるでしょう。同時に、今回は、評議員と役員、又は当該社会福祉法人の職員の兼務も禁止となっています。これは、実態として、評議員を置いている法人においても、法人理事が評議員を兼務する事が多く、「理事会の決議=評議員会の決議」となっている(=本来、評議員会が有すべき(理事会に対する)牽制機能が機能していない)、という問題、即ち、「ガバナンスの欠如」「透明性の担保」に対する指摘が背景にあります。また、「一定規模以上の法人への会計監査人の導入」についても同様の課題認識に端を発しており、「資金使途にも牽制機能や透明性担保を強化しよう」という表れだと理解出来るでしょう。ちなみに、「一定規模以上の法人」の「一定」の基準については、当初は「収入10億円」とされていましたが、現時点ではまだ未定のようです(もっと引き下げられる可能性もあるとは聞いています)。

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【その2:事業運営の透明性の向上】
財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に係る規定の整備 等

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こちらも上記【その1】と同様、「牽制機能強化」「透明性担保」という意味合いが大きいと思われます。

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【その3:財務規律の強化】
・役員報酬基準の作成と公表、役員等関係者への特別の利益供与の禁止 等
・「社会福祉充実残額(再投下財産額)」の明確化
・「社会福祉充実残額」を保有する法人に対して、社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付け 等

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「社会福祉充実残額(再投下財産額)」とは、世間で指摘されている、いわゆる「内部留保」を指しています。
定義としては、「純資産の額から事業の継続に必要な財産額(=1.事業に活用する土地、建物等 2.建物の建替、修繕に要する資金 3.必要な運転資金 4.基本金及び国庫補助等特別積立金)を控除等した額」となります。
今後、全ての社会福祉法人はこちらの計算を進め、自社に「社会福祉充実残額」がどれぐらい残っているのか、そして、それらをどのように有効に使って行くのかについて、明らかにしなければなりません。法人の現状によってバラつきも大きいと思いますが、今までそこまで強く求められてこなかった新たな業務が現状に付加される事は間違いなく、法人本部としては、相応の心構えが必要となるでしょう。

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【その4:地域における公益的な取組を実施する責務】
社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定

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社会福祉法人として、法人格に相応しい事業をやりなさい(≒営利法人と同じ土俵の事業ばかりでなく、税制優遇を受けるに相応しい事業をやりなさい)という意味だと捉えて差し支えないでしょう。

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【その5:行政の関与等のあり方】
所轄庁による指導監督の機能強化、国・都道府県・市の連携 等

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今後、都道府県からの経営介入が更に深まる、とも読み取れそうな内容が数多く散見されています。

「拙速」に注意しつつも、早め早めの情報収集と準備が必要

本法律の通過に基づき、今後、より詳細な細則等もどんどん形成されてくると思われますが、いずれにせよ、社会福祉法人に対する大きな改革が「本格的に始まった」ことは、しっかりと認識する必要があると思われます。

前でも触れましたが、多くの事業者にとって、適切な評議員の探索・人選や会計監査対応、情報開示体制の整備、社会福祉充実残額の明確化等、求められている仕組に対応していくだけでもかなりの労力が費やされる(=コスト高になる=収支差が益々圧迫されることになる)状況に陥ることは間違いありません(勿論、従来よりしっかりとマネジメントが出来ている法人にとっては、要求されているレベルはそれほど高くないとも感じられるかもしれませんが)。

2015年度の改定により報酬も大きく低減された中(しかも次期以降も更に厳しくなることが予測されている中)、このようなコストを如何に吸収しながら、経営の舵取りを行っていくか?或る意味、自由度が高い一般の営利法人とは質の異なる「難しさ」が、今後の社会福祉法人の経営には覆いかぶさってくると言っても過言ではありません。

その意味でも、社会福祉法人の経営陣の皆様は国レベルの動きは勿論、自社が展開する地区の方針や温度感等についてしっかり情報収集を行うと共に、行政情報のみに翻弄されることなく、自社の理念に基づいた「あるべき姿」も見据えつつ、他法人の事例も参考にしながら、自社のビジョンを早期に描いていく必要があるでしょう。是非、頑張っていただきたいと思いますし、我々も今後、有益な情報が入り次第、皆様にお伝えさせていただくように意識してまいります。

(2015年8月26日更新)

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